ホームベーカリー

昨年末の大掃除で発掘されたわが家のパン焼き器。

買ったのは四半世紀近く前で、しかも数回使った程度。
もともとパンを食べるのは週末の朝だけということもあり、あっという間にゴミ袋にくるまれて(埃よけのため。捨てるためではありません)、忘れ去られていました。

うちにパン焼き器があることは知っていましたが、ふふん、と鼻で笑って手ごねパンを焼いていたのは今から10年ほど前のこと。

レイモンド・カーヴァーの"A Small, Good Thing"(邦題は、「ささやかだけれど、役にたつこと」)という短篇小説を読んで、むしょーにパンを焼きたくなったのでした。

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

ところが、です。

20年以上も前のパン焼き器だし、本当にまだ使えるのかな? という疑問もあり、試しにお正月にパンを焼いてみたのです。

焼けました。

しかも、とてもおいしかったのです。

使った強力粉が良かったのかもしれません。
そのとき家にあったのは「はるゆたかブレンド」という国産の小麦粉。焼きあがったときに変な匂いがしませんでした。

20年以上前にハハが焼いたパンは、ちょっとイースト臭いような独特の匂いがした、というのです。

わたしも、10年ほど前に手ごねでパンを焼いてましたが、ちょっと匂いが気になっていました。(特に焼きあがったばかりのとき)

小麦粉を変えたらこんなに違うもんなのかー。
驚きです。

イーストが良くないのかなあ、と思ったりしていたのですが、粉もかなり重要なのですね。

最近、パン焼き器を使う人が増えているみたいです。

いまは「パン焼き器」じゃなくて、「ホームベーカリー」という名前が定着したようです。
クックパッドとか料理ブログの世界ではHBという略称で通っています。

HBというのは、鉛筆の芯の硬さを表すものだとばかり思っていました。
時代は変わったなー。

確かに、ささやかだけれど、役にたつものです。
あいや、カーヴァーの短篇にはホームベーカリーは出てこないんですけどね。