すくすく

今朝もバスでぴかぴかの1年生と一緒になりました。

今日は母親に見送られながらすんなりとバスに乗り、扉が閉まる前に「どっか適当に座りなさい」というお母さんのよく通る声が外から聞えてきました。

でも、女の子は手すりにつかまってじっと立っています。
まだ座席に座るほど心に余裕がなさそうです。

年配の女性が女の子の方にやってきて、「あそこに座ったら?」と声をかけましたが、彼女はぎゅっと手すりを握りしめたままでした。

わたしの横に立って、すぴー、すぴー、と鼻で息をしている音が聞こえてきます。
・・・鼻づまりのようです。

バスが終点に到着しました。
ちゃんと今日も運転手さんにお礼を言うのだろうか・・・?

女の子は、この間よりもしっかりとした鼻づまりのだみ声で、運転手さんに「ありがとうございました」と言ってバスを降りていきました。

さあ、次はどうするのだろう? 
ドキドキしながら女の子の後姿を目で追いかけます。

今日は普通にてくてくと歩道に向かって歩いていきました。
もう手はあげません。

手を上げて歩いているのは自分だけ、ということに気づいたのでしょう。

なんだか少し残念。

女の子の周りにピンとはりつめていた律儀で生真面目な空気は少し薄らいでいました。
すべてが生まれて初めての経験で、全身をかちんこちんに強張らせて一所懸命歩道まで歩いていたあの姿が、なにやら懐かしい。

とても可愛かったのです。

しかし、その可愛らしさは永続すべき可愛らしさではありません。

残念、と思うのはわたしのエゴです。

だみ声少女は、すくすくと「成長」しております。